─ キャスティングの1日のお仕事の流れを教えていただけますか。

金森  事務作業の日、外回りの日、撮影やイベントの本番日とそれぞれ違った動きをしています。事務作業の日は、ご依頼頂いた案件の候補者を絞るためにリストを作ったり、芸能プロダクションの方々から教えていただいたタレント情報をまとめたり、代理店さんに向けてどうアプローチするかを練って資料を作ったりしています。

─ 事務作業といっても、一番頭を使う作業ですね。

金森  そうですね。候補者リストを作るためにいろいろな作品をチェックしたり、文化人の方のキャスティングの時には専門的な文献を読んだりもして、自分でタレントさんの強みを見つけるように心がけています。
自分で理解しないとクライアントさんへのプレゼンでも伝わりにくいので、常にいろいろな知識、いろいろな情報を得るための作業はしています。

─ 外回りの日はどんな1日ですか。

金森  主に広告代理店さんや制作会社さんに伺って打合せをしています。いただいた案件のターゲットやどういう商品なのかということを掘り下げて、タレントさんを選ぶにあたってのヒントを探したり、これからお仕事をさせていただきたいなというところへの営業だったり。芸能プロダクションやモデル事務所のマネージャーさんから情報収集をしたりもします。撮影やイベント当日にタレントさんのケアができる環境を作るためには、マネージャーさんと仲良くなっておくことも大切だと思います。


─ 撮影日はどんな動きをするのですか。

金森  まず、タレントさんがパフォーマンスしやすい環境を整えるというところに重点を置いています。控室等の事前準備から始まり、タレントさんをお迎えした後も、終始タレントさんにストレスがかかっていないか目配りします。撮影中は今後の制作物がスムーズに進行するように、その場で解決できることがないか、常に目を光らせています。

─ しっかりと細やかな気配りがあるからスムーズに進行できるのですね。毎日がとてもやりがいのある内容ですが、お休みはしっかり取れますか。

金森  お休みはしっかり取っています。土日の撮影も時々ありますが、代休を取れますから。仕事が立て込んでいても総務が「代休取れてないよ」と声をかけてくれますし、チームとしてもバックアップ体制で挑んでくれるので、取りやすい環境だと思います。

─ 1つの案件を1人で進行するのでしょうか。

金森  1人での進行もありますが、2人が多いですね。私のような新規案件を獲得すべく動く営業スタッフがいて、デスクスタッフがしっかりバックアップしてくれるような体制です。2人で進行するのはすごく安心感があります。

─ キャスティングにおいて難しいポイントはなんですか。

金森  候補者を探すのも難しいのですが、その後の交渉も難しいですね。
クライアントさんの求めるものと、タレントさんの向かいたい方向性が合致しない場合もあります。
例えば、サプリメントの広告があったとします。そのタレントさんがサプリメントの愛用者として出演ができるのか、それはできないけれど商品の特長を紹介するナビゲーター役ならばできるのかなど、取り扱いが繊細なものに関しては特に、出方の部分で調整することもあります。
そうした細かな交渉のためにも、一人一人のタレントさんルールを知ることは大切です。タレントさんの情報に敏感なことや、歌舞伎界やスポーツ選手など特殊なジャンルの独特なルールを知っていることは、この仕事において 重要な武器になります。社内でもすごくコミュニケーションを取りますし、ありがたいことにタレントさんのマネージャーさん達も、デルフィーのオフィスに顔を出してくださるので、そういう時にお話伺って、スポーツ選手だとこういうことがダメなんだとか、それぞれの持つルールも教えてもらっています。
気がかりなことが発生した場合は、自分のストックしている知識も引っ張り出しながら、事前に回避できるものがあるか等、クライアントと事務所の双方が満足できるものに近づけるために、いろんな角度からアイディアを出して解決いきます。

─ キャスティングをしていて嬉しいことはなんでしょうか。

金森  キャスティングは順調に進む時もありますし、タレント企画が選ばれないケースもあります。万全な準備で自信をもって提案するように努めますが、プレゼンが通らずに残念ながらお仕事が完全になくってしまうこともあります。苦労がある分、決まった時の喜びはすごく大きいです。

─ それはすごく充実感がありますね。撮影が終わるとお仕事はひと段落になるのですか。

金森  広告展開がひと段落すると、次はクライアントさんとタレントさんがその後も長くタッグを組んでいけるように立ち回ります。クライアントさんにこのチームで長く続けようと思ってもらえるように、そしてタレントさんにもやって良かったと思ってもらえるように、双方へ情報をお送りし、末長くお付き合いができるよう、つながりをつくっていきます。

─ お仕事で励みになることはありますか?

金森  ご一緒した方々から別の案件でお声かけいただいたり、1度ご一緒したタレントさんとまたご一緒できる機会があったりすると、励みになりますね。完成した作品がニュースやSNSで沢山取り上げてもらえると手応えが感じられますし、自分が推薦した俳優さんがどんどん人気が出るとそれもまた嬉しいです。

─ お仕事以外の時間はどのように過ごされていますか。

金森  プライベートもついつい仕事に関連したことのことを考えてしまいますね。もともと映画やドラマを見るのが好きなので、作品を見ることが負担に感じないんです。近年は配信ドラマも増えた分、見るものの選択肢が豊富で楽しいですね。最近、海外ドラマを見始めて、これ日本人キャストだったら誰かな…とかずっと考えていたりします。美容院などで雑誌を見ていても、この仕事を始めてからはスタッフリストばかり見ています。ヘアメイクさんやカメラマンさんに出演いただく企画も時々ありますので「今流行っているメイクを作っているのはこのヘアメイクさんなんだ」「この方は雑誌でみんなが親しんでいるカメラマンさんなんだ」といった情報収集はいつもしています。 全てのジャンルを一人で網羅するのは無理ですが、各スタッフに得意分野があるのは、デルフィーの強みの一つです。ものすごく舞台を見ている人や、小説をよく読んでいる人、2次元俳優のことならなんでも知っている人、声優に強い人、スポーツ選手に詳しい人、YoutuberやTikTok大好きな人など、それぞれに強みがあります。
スタッフミーティングは、そういった情報を交換する時間でもあるので、自分の未開拓分野の話が聞ける大切な時間です。

─ それぞれの好きなことがキャスティングの強みにもなるのですね。デルフィーのスタッフの皆さんは個性がバラバラでオフィスも活気があります。どういう方がキャスティングに向いているのでしょうか。

金森  「壁を作らない人」でしょうか。人と話すことが苦にならない人。例えばオーディションですと、緊張しているモデルさんたちに、いかにリラックスしてオーディションに向かってもらうかというのも、私たちの役目の1つです。シーンとした空気を作ってしまうのではなく、タレントさんが自分らしさを出せるような現場の空気を作り出せる。そういうことができる人はすごく向いているだろうなと思います。自分ができているかどうかは別ですが、気配りだったりとか、目配りだったりとか、そういうことが自然にできる人。周りから言われてやるのではなくて、先輩の気配りを見て盗んで、積極的に取り入れようとする力は大切だなと思います。

─ 金森さんは社内だと先輩側ですか?

金森  私はちょうど真ん中です。先輩には強気で、自由に発言していますし、後輩にも(自分に対しては)そうあってほしいと思ってます。実際は、よくできた子が多いので気を遣ってもらってるなと感じていますが (笑) 20代から50代まで幅広いスタッフがいるので、中間の立場としてはうまく潤滑油になれたらなと思っています。

─ デルフィーさんはあらゆる年代の女性が活躍されていますよね。

金森  個性的なタイプが多く集まった集団ですね。10年以上勤めているスタッフが多いのも特徴の一つです。うまいことお互いにカバーし合いながら、にぎやかに過ごしています。

─ そもそもの入社のきっかけはなんだったのでしょうか。

金森  前職で芸能マネージャーをやっていた際に出会った方々の中でも、担当していたタレントさんのお仕事をする中で「キャスティングさん」のお仕事ぶりは印象的でした。こちらが何も言わなくても完璧に配慮してくださるのが、すごく格好良くて。自分が30歳になるタイミングでステップアップしたいなと思って、次は何の仕事がいいかなと思った時に「キャスティングさんって、そういえばすごい格好良かったな。ああいう風になれたら面白いな。」と。そして、就活をしていく中で、山口(代表)が声を掛けてくれました。以前から「山口さんだったら相談できる」というような、その懐の深さというか、迎えてくれる器の大きさみたいなものを感じていたので、そこに惹かれて入社することになりました。

─ 代表の山口さんにお人柄に惹かれたことが大きいのですね。

金森  そうですね、いざという時に本当に頼りになります。直接的に表現することはないとしても、デルフィーのスタッフは、社長のことが好きだなと思う節は多々あります。

─ これからのデルフィーにはどんな人が来て欲しいですか。

金森  新しい風を吹かせてくれる人。うちのスタッフは、辞めずにずっと続いているスタッフが多いので、その分、平均年齢がどんどん上に行っちゃうんです。なので、若い世代の方が入ってくれることによって、またみんなが刺激されて、どんどん最強チームになっていけるんじゃないかなと思います。あとは、お酒を飲むのが好きなタイプが多いので、仕事をやり遂げたあとは、チームでお酒を飲めたら最高ですね。

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